突然の3学期の修了日から、明日で1週間になります。
みんなは、この1週間をどんな気持ちで、どんなふうに過ごしていたのでしょうか。
私たち教員は、突然の休校への対応で、みんながばたばたとあわただしく忙しく働いていた1週間でした。
もしかしたら、わざと忙しくふるまっていたのかもしれません。
そうでもないと、強い気持ちが押し寄せてくるからです。
週のはじめの朝、いつも通りにチャイムが鳴りました。
それを聞いたある先生が、言いました。
「このチャイムが聞こえたら、外に出て、『体操だよ。並びましょう。』って子どもたちに声をかけるんですよね。」
その先生は、みんなのいないグラウンドを見て、寂しそうに言いました。
「チャイム、切りませんか?子どもたちのことを考えてしまいます。」
私はわざとチャイムのスイッチを切っていませんでした。
なるべく、いつもの通りの学校にしていたかったからです。
でも、チャイムのスイッチを切ることにしました。
チャイムのスイッチを切るときに、みんなのことを思いました。
みんなはこの1週間をどう過ごしましたか。
思いがけず、長い春休みになりました。
ぜひ、普段は手にとらなかった本に手を伸ばしてみてください。
会いたい友だちとは会えなくても、本のなかの登場人物との出会いを楽しんでください。
課題が出ている学年もあるかもしれません。
分からない問題はもちろん、すぐにできそうな問題でも、いつもより遠回りして解いてみてください。
じっくりのんびり考え、寄り道することで見えてくる景色があるかもしれません。
それから、家族や身近な人との会話をいつもよりたくさんしてみてください。
近くに居すぎると、よく見えるようで、実は見えなくなることもあります。
身近な人ほど、たくさん会話することで新しい発見ができることでしょう。
人だけではありません。
心の中に発見のメガネをかければ、身近な場所でも、新しい発見があるはずです。
私もそうやって、発見のメガネをかけて過ごそうと思います。
実はこの1週間で、もう大きな発見がありました。
それは、きっと私たちは離れていても、お互いのことを考えているんだという発見です。
あの先生が、8時30分のチャイムを聞いたとき、みんなのことを思ったように、きっと同じ時間に「体操の時間だ」と考えた誰かがいたことでしょう。
時計の針が10時20分を指せば、「本当は今から20分休みだったのにな。みんなとサッカーしたいな。」と思う人が、きっといっぱいいるのだと思います。
あなたが誰か友だちのことを思い浮かべているときは、きっと誰かがあなたのことを思い浮かべています。
私たちもいつもみんなのことを考えています。
学校は休みでも、私たちはきっとお互いを思い合っています。
それがこの1週間での私の発見です。
ぜひ、この長い春休みが明けたら、みんなの発見を聞かせてください。
私はそれを楽しみに過ごしたいと思います。
桐朋学園小学校の子どもたちには笑顔が似合います。
どうか笑顔で過ごしてください。
発表会、いよいよ5年生の出番です。
5年生は、両クラスとも創作劇。
自分たちで台本を書きました。
それだけでなく、演出、照明、音響も自ら行います。
1組は「不思議な裁判~鬼と四人の子どもたち~」。
彼らの演じる先生たちの恐いこと恐いこと。
あんな先生にはなりたくないと心から思いました。
力でおさえつけてくる先生たちに、力でやり返すのではない方法を考えるシーンが印象的でした。
先生と鬼、子どもたちとの裁判に、最後に現れた桃太郎に、会場は興奮に包まれました。
鬼と桃太郎は素敵な関係を築いていたのですね。
そういえば、もとの先生はどこへ行ってしまったんだろう。
2組は「忘れ去られた君とぼく~大切なもの~」。
不思議な話のはじまりから、中盤で話が急展開を見せます。
まさか主人公が、周りの友人だけでなく、家族からも見えない存在になるなんて。
見ていた低学年から悲鳴が聞こえてきました。
実は私も舞台袖で悲鳴をあげました。だって怖かったんですもの。
でも、舞台上の子どもたちは怖さに立ち向かっていきます。
そして最後には心が温められました。
なんて怖くて、なんて優しい話だったでしょうか。
保護者のみなさまには、急なお願いにご協力いただきました。
ありがとうございました。